2022年12月17日にダイヤ変更を行う近鉄ですが、新しい時刻表が他の鉄道事業者と同じく全ての種別を一括した横書きになった新しいスタイルで掲示されています。
近鉄名物である、列車種別区分けの縦書き時刻表が見納めになるようです。
時刻表スタイルの違い
従来スタイルの時刻表は、快速急行・急行など列車種別毎に区分けされた縦書きの時刻表となっています。これは近鉄名物と言えるほど、他の鉄道事業者にはないスタイルです。
大阪上本町駅の大阪線地上ホーム(大和八木・賢島方面)の従来の時刻表です。このように概ね行先と列車種別毎に発車時刻が並べられているスタイルです。ただし、準急・区間準急・一部の普通は一括りになっています。
こちらが新しい大阪線(大和八木・賢島方面)の時刻表です。近鉄は特急電車が有料・全席座席指定ということもあり特急だけは区分けされたままですが、それ以外の快速急行・急行・準急・区間準急・普通は同じ枠に一緒に発車時刻が並べられた、他の鉄道事業者と同じ時刻表スタイルになっています。
なお、新しい時刻表には、大阪線の賢島方面だけど地下ホームから発車(大阪難波駅始発)の時刻表も一緒に入っています。
こちらが奈良線(地下ホーム)の現在の時刻表です。特急、快速急行、急行など区分けされています。ただし、大阪線地上ホームの時刻表と同様、準急・区間準急・一部の普通は一括りになっています。
こちらが奈良線の新しいスタイルの時刻表です。なお、現行スタイルの時刻表に入っていた近鉄名古屋方面の発車時刻は、新しいスタイルの時刻表には入っていませんでした。
なお、一部で話題になっていた近鉄奈良線のダイヤ変更後の快速急行の本数。現在は昼間時間帯は1時間あたり快速急行3本、急行3本、区間準急3本なのが、ダイヤ変更後は快速急行4本、急行2本、区間準急2本になることが判明しました。平日の昼間は大阪都心方面からは石切、東花園、河内小阪、布施へは運行本数が減ってわずかですが不便になりそうです。
※ダイヤ変更で、平日の昼間で大阪難波以西の阪神線に直通する快速急行(神戸三宮発着)は現在の1時間あたり3本から2本に減便(20分間隔→30分間隔)になります。
こちらは大阪上本町駅・地下ホーム大阪難波方面の従来スタイルの時刻表です。大阪難波駅を越えて、神戸三宮・尼崎方面へ向かう列車と、大阪難波止まりの列車が区分けされて掲載されています。
こちらは大阪上本町駅・地下ホーム大阪難波方面の新しいスタイルの時刻表です。大阪難波駅を越える列車も大阪難波止めの列車も一緒の枠に入っています。
新旧スタイルのメリット・デメリット
従来スタイルの時刻表のメリットとしては、遠距離移動の場合、たとえば大阪上本町駅や鶴橋駅から大阪線快速急行もしくは急行だけの時刻表を見たい場合は、観る範囲を絞ることができすぐに視認できるというメリットがあります。急行だけならオレンジの箇所のみを見ればいいのですからね。
ただし、前述の通り準急・区間準急・普通はごっちゃになっており、中途半端なのは否めません。また、普通に至っては「名張/準急 区間準急 普通」の欄と「河内国分/普通」の欄に分割されていることから、どっちも見ないといけなく、大変わかりづらいです(これは奈良線も同じことになっています)。
従来スタイルのデメリットは、上記でもう述べてしまいましたが、近距離移動に対しては時刻表が大変わかりづらいものとなっています。例えば、布施駅に行きたい場合は「五十鈴川/急行」「名張/準急 区間準急 普通」「河内国分/普通」の3つの欄を見比べて見る必要があり大変わかりづらいです。
その他デメリットとしては、例外事項が多いというのも特徴です。例えば、大阪上本町駅奈良線の時刻表を見ると、真ん中の「近鉄奈良」の欄は、快速急行・急行・準急・区間準急・普通全てが近鉄奈良行のようみ見えてしましますが、実際は準急・区間準急・普通は注記がついており、快速急行・急行以外で近鉄奈良まで行く電車はほとんどありません。
また、種別毎に区切っている関係上、空白が多くなってしまい無駄なスペースが多い印象です。またその影響で、急行など文字がぺちゃんこになってしまっています。
新スタイルの時刻表のメリットは、鉄道プレスで207さんがおっしゃっていたのですが、なんといっても「行先がフル表示で目線移動が少なくわかりやすい」1)これに尽きます。
これまでは西(大和西大寺)や東(東生駒)など、凡例を見る必要がありましたが、新しいフォーマットでは全て記載されているので一目瞭然です。
一方デメリットしては、区間準急/準急の表示が非常に見づらくなってしまった点でしょうか。
区間準急は緑の斜体、準急が緑の標準体という区別の仕方になっています。
例えば四角で囲うとか、もう少しなんとかならなかったんでしょうか……
出典)『【近鉄】名物の「縦書き時刻表」が見納めへ – 鉄道プレス』<https://207hd.com/post-28551/>-2022年11月24日閲覧
デメリットは、207さんが述べられているとおり、準急と区間準急の区別がわかりづらいところです。従来スタイルでは区間準急は(区)が注釈で付いているだけでこれも結構わかりづらかったのどっこいどっこいの気はしますが、まだ明確に判断は付くという点はありました。
また、他のデメリットとしては大阪線の急行だけ見たい!というような場合でもごちゃ混ぜになっており、わかりづらくなったという点ぐらいでしょうか。そもそも近距離は前述のとおり、複数の欄を見ないといけなかったため、その点は改善されている(一つの欄だけで良くなった)ことから、総合的にはメリットが上回っているように思います。
正直なところ、従来スタイルの方が慣れているしわかりやすい!とずっと思っていたのですが、冷静に考えてみると従来スタイルもデメリットがかなり多く、これは見直しはやむを得ないのかなと思う所です。特に、初めて近鉄に乗る人、たまにしか乗らない人にとっては従来スタイルはかなり複雑で難解なのだと感じます。
上記は近鉄日本橋駅の大阪難波方面の従来の時刻表ですが、これを初見で混乱する人は確かにいるかもしれません。快速急行、上にも下にもあるし?下の快速急行は黒色だし?大阪難波は下だけ見たらいいの?などなど
まぁ、大阪難波方面は昼間でも1時間に15本(平均4分間隔)で電車が来るので、時刻表はそこまで必要ないかもしれません。むしろ大阪難波を越えて移動する人にとっては、この方がわかりやすいかもしれません。ただ、他の事業者と違った特殊スタイルというのは、サインの統一化という近年の方向性と言う観点からは馴染まないのかもしれませんね。
鉄道ファン的には少し寂しいと思う所ですが、今は乗換検索サイト・アプリが充実し、目的地がはっきり明確になっている場合は時刻表無しでも探しやすくなっているため、時刻表は他の鉄道事業者と同じ標準的なスタイルが良い、という近鉄さんの判断でしょうか。
なお、近鉄南大阪線では新スタイルの時刻表が既に導入されています。
おわりに
そういえば、昔(旧15分ヘッド時代)の京阪電車のポケット時刻表を持っているのですが、その時刻表は特急・急行・準急・普通で区分けされた縦書きの、従来の近鉄時刻表スタイルになっていました。
駅に掲載の京阪の時刻表は、ポケット時刻表と同じ列車種別毎なのか一括なのかどちらだったのでしょうか。簡単に調べても情報を得ることはできませんでした。
関連リンク
参考文献
1)『【近鉄】名物の「縦書き時刻表」が見納めへ – 鉄道プレス』<https://207hd.com/post-28551/>-2022年11月24日閲覧