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[鉄道名所1] 秘境のターミナル駅 備後落合駅

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広島県・島根県・岡山県への3方向の列車が発着するターミナル」と聞けば、おぉ~なかなかの鉄道の要所だなと思うかもしれません。しかしながら、実態は賑わいのない駅です。それが、広島県庄原市にある備後落合駅です。

備後落合駅は、JR芸備線の途中駅であり、JR木次線が分岐する駅です。このうち、JR芸備線の備後落合駅~東城駅間の2018年の平均通過人員(輸送密度)は13人/日 1)と、日本で最も少ない輸送量ではないかと言われている区間です。それぐらい利用者が少ないのです。

平均通過人員(輸送密度)とは?

営業キロ1km当たりの1日平均旅客輸送人員のこと。
計算式は『平均通過人員 = 旅客輸送人キロ ÷ 営業キロ ÷ 営業日数』。2)

輸送規模(断面交通量)の一つの指標として用いられるものであり、数字が大きいほど輸送量(利用者および貨物輸送量)が大きいものになる。

2016年9月撮影

訪問当時の時刻表(2016年)。当駅を発車する列車はこのように少なく、利用者も少ないのでひっそりとしています。

駅構内の様子

駅舎に隣接している1番線ホーム。「木次線・宍道方面のりば」と看板があるので、木次線ホームのようです。

島式ホームの2・3番線ホーム。芸備線ホームのようです。1番線ホームからは構内踏切でつながっています。

2番線には、三次方面から来た折り返しの三次行き(方向幕はまだ備後落合のママ)。3番線には、備中神代・新見方面から来た折り返しの新見行きが停車しています。

2・3番線ホームから広島(三次)方面・宍道方面を望んだ様子。

2番線ホームから備中神代(新見)方面を望んだ様子。

ホーム以外にも線路がたくさんあります。かつては、陰陽連絡(山陽エリアと山陰エリアの連絡)の拠点として備後落合駅はかなり賑わったそうです。

 さびで赤茶けた高さ7~8メートルのアーチ形の鉄柱には、カズラがしっかりとからみついていた。直径20メートルほどの円形の土台上に、緑色にこけむした枕木が横たわる。蒸気機関車を方向転換させた転車台だ。1980年代前半まで使われていた。
 中国山地の山あいにあるJR芸備線の備後(びんご)落合駅(広島県庄原市西城町)が開業したのは1935(昭和10)年12月。2年後に全線開通した木次(きすき)線と芸備線はこの駅で接続。山陽と山陰を結ぶ拠点となった。高度成長期、駅には100人を超す職員がいた。だが過疎化と、道路網の発達により利用客が減り、97年に無人駅となった。

出典:asahi.com(朝日新聞社):目閉じれば往時の影絵 JR備後落合駅 – 関西<http://www.asahi.com/kansai/travel/ensen/OSK200906130081.html>2019年7月28日閲覧

出発信号機がいくつかあります。これを見るとなんとなくターミナル駅っぽい感じがします。

3方向へ向かう列車

少し待っていると、宍道方面から列車が来ました。

3方向を発着する列車を同時に見ることができる、数少ないチャンスです。

実は3方向発着する列車を同時に見ることができるのは、1日1回だけです。2019年7月1日現在のダイヤだと、14時33分~14時37分のたった4分間だけです。

駅前

駅前の様子。

駅前には特に何もありません。かつては駅近くに、2軒の旅館、食堂、床屋、酒屋などが軒を並べていたとのこと3)

駅舎

駅前から見た駅舎。あまり駅っぽくない感じ。

駅舎内の様子。そこまで広くはありません。

運賃表と時刻表(2019年9月撮影)

秘境?

「秘境」の定義は、人それぞれなのかなと感じています。備後落合駅は国道183号線(広島市~米子市を結ぶ)のすぐ近くにあり、クルマで訪れにくい場所にあるわけではありません。また、駅周辺に民家等がないわけではありません。そういう意味では、狭義の秘境には入らないかもしれません。

ただ、備後落合駅は中国山地の山深いところにあり、一般的にターミナル駅といえば、街中の中心部にあるイメージでしょうから、そういう意味では「秘境」という表現はおかしくないと考えてます。

運行本数は極めて少ない

前述の通り、運行本数は極めて少ないです。

2019年7月1日(月)の備後落合駅の時刻表

芸備線
三次 方面

木次線
木次・宍道 方面
芸備線
備中神代・新見 方面
6 43三次   41新見
7      
8      
9 9三次 ◆20木次  
10      
11      
12      
13      
14 43三次 ◆41宍道 37新見
15      
16      
17 15三次 41宍道  
18      
19 18三次    
20     12新見

注)◆マークは、出雲横田~木次間、第2木曜<除く、8月8日>は運休。同区間は代行輸送となります。

この通り、とにかく運行本数が少ないです。備後落合駅に訪れる際は時刻表をしっかり調べたうえで訪れることを推奨します。むしろ、すべきでしょう。

奥出雲おろち号

運行本数が極めて少ないため、なかなか訪れにくい備後落合駅。春~秋の金・土・日・祝日に運行される木次線トロッコ列車「奥出雲おろち号」に乗車すれば、備後落合駅で折り返しにはなりますが、訪れやすくなります。
※「奥出雲おろち号」は全車指定席です。そのため、事前に乗車券と座席指定券が必要ですので、ご注意ください。

奥出雲おろち号【JR木次線トロッコ列車】 | 出雲の國・斐伊川サミット

2・3番線ホームには、奥出雲おろち号の広告が掲示されていました。紅葉の季節は景色良さそうですね。

[参考文献]
1)データで見るJR西日本2018、P.59<https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/pdf/data2018_08.pdf>2019年7月28日閲覧

2) 区間別平均通過人員(輸送密度) および 旅客運輸収入(平成29年度 -JR四国<http://www.jr-shikoku.co.jp/04_company/company/kukanheikin.pdf> 2019年7月28日閲覧
3) asahi.com(朝日新聞社):目閉じれば往時の影絵 JR備後落合駅 – 関西<http://www.asahi.com/kansai/travel/ensen/OSK200906130081.html>2019年7月28日閲覧

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