阪堺電気軌道のダイヤ改定が2019年7月1日に行われることが発表されました。
▽2019年7月20日(土)にダイヤ変更を実施します – 阪堺電気軌道
このダイヤ改定で阪堺線の恵美須町~住吉間の昼間時間帯(10時~16時)が24分間隔になることになり、 都市部の鉄道路線で24分間隔の運行は、普段使いが難しい状態になってしまうということで、いろいろと話題になっています。
▽【阪堺】7/20にダイヤ変更。恵美須町発着列車が24分間隔へ、終電が30分繰り上げに… | いまどきの鉄道サイトの作り方
▽【阪堺電車】2019年7月20日ダイヤ改正実施を発表。恵美須町~住吉間は日中24分間隔に : 阪和線の沿線から
ただ、私は今回の発表(24分間隔化)については特に驚きはありませんでした。
現在の昼間ダイヤは変則的な12~24分間隔
阪堺電気軌道は2014年3月1日のダイヤ改定で、今まで12分間隔だった恵美須町~住吉間が、現在の昼間時間帯12~24分間隔に変更となりました。
この12~24分間隔とは、運行間隔を24分・24分・12分を繰り返す変則ダイヤで、確かに時刻表では見かけ上は1時間3本の運行が維持されているダイヤなのです。
しかし、24分間隔が2連続となっていたため、既に2014年のダイヤ改正発表から恵美須町発着は気軽に使えるダイヤではなくなってしまったなぁと印象をもっており、当時から恵美須町発着の今後はかなり厳しいだろな思っておりました。そのため、この昼間ダイヤ完全24分間隔化は、来るときが来たな、既に使いにくい運行間隔だしなぁ、という感想しか持ちませんでした。
24分間隔のデメリットは?
①気軽に利用するのが難しい運行本数
やはり、都市部の鉄道で24分間隔というのはかなり運行本数が少ない部類です。例えば、京阪神でもこの運行本数はかなり少ない部類になります。京阪神で運行本数が少ない鉄道路線(昼間時間帯)と言えば、
- 神戸電鉄粟生線(志染~粟生):60分間隔
- 南海汐見橋線(汐見橋~岸里玉出):30分間隔
- 神戸電鉄粟生線(西鈴蘭台~志染):30分間隔
- 近鉄道明寺線(柏原~道明寺):30分間隔
- 京阪京津線(御陵~びわこ浜大津):20分間隔
- 叡山電鉄鞍馬線(宝ヶ池~鞍馬):20分間隔
- 叡山電鉄叡山本線(宝ヶ池~八瀬比叡山口):20分間隔
- 大阪モノレール彩都線(万博記念公園~彩都西):20分間隔
このあたりが浮かぶでしょうか。これらと比べれば、24分間隔というのはなかなか運行本数の少ない路線で、観光などにも気軽に使える鉄道路線ではないなぁと思えるでしょう。
なお、広島県の福山駅と崖の上のポニョのモデルとされている鞆の浦を結ぶトモテツバス鞆線(福山駅~鞆の浦間)の昼間時間帯の運行本数は20分間隔です。 鞆の浦に旅行に行った時、20分間隔ならちょっと待てばくるからそれなりに便利なバス路線だな、と思いました。
個人的な感覚ですが、都市間を結ぶバス路線でも20分間隔がギリギリ気軽に利用できる運行間隔ではないかと考えています。 大阪シティバスで例えれば、綺麗にそ運行間隔揃っていませんが62号系統(大阪駅~住吉車庫)が約20分間隔ですね。
閑話休題。私の個人的感覚ですみませんが、2018年3月17日のダイヤ改定で20分間隔となりあぁ気軽に利用しにくくなったなぁと思った京阪京津線よりも運行間隔が開くと、う~ん、と思わざるを得ません。
②時刻表が覚えにくい
例えば、10分間隔、15分間隔、20分間隔、30分間隔などの60分で割り切れる運行間隔であれば、毎時間同じ分に電車が来るとわかります。
例えば、新快速。大阪駅発着は京都方面、三ノ宮・姫路方面どちらも毎時0分、15分、30分、45分に発車します。これさえ覚えていれば、時刻表覚える必要ないですよね?
しかし、24分間隔は60分で割り切れません(120分では割り切れます)。つまり、1時間後は違う分に電車が来ます。覚えにくいのです。
普段使いで言えば、24分間隔こそ「使えない」代表例。何故なら時刻が覚えられないから。60で割り切れない数字は間隔に用いちゃダメと思う。毎時同じにならない。以前地下鉄には7分間隔があったが、あれは頻発してるから例外。24分より30分間隔の方がマシ。「毎時15,45分発」のように覚えられる。
出典:ぷにぷにさんのツイート<https://twitter.com/punitter39/status/1139441252686950400>(2019年6月16日閲覧)
ちなみに、かつて大阪市内を運行していた赤バス。とにかく60分で割り切れない運行本数の路線が多かった。特に旭区を運行していた赤バスは42分間隔で運行していた時があり、これは覚えられない、、、と思ったものでした(おそらく1周の所要時間と車両運用の都合だろうな、とは納得していましたが)。
閑話休題。この心理的なイメージは、利用に悪影響を与えるのではないかと思います。
なぜ24分間隔?
理由は明確にされていません。覚えやすい感覚だったら、24分間隔に近い20分間隔でも良いのでは?と思う方もおられるかと思います。
しかし、中途半端な24分間隔にした理由は、次の2点が考えられます。
①天王寺駅前発着の電車の競合を避けるため
恵美須町発着の阪堺線は、恵美須町~住吉~我孫子道間を運行しています。そのうち、住吉~我孫子道間は天王寺駅前発着の系統(天王寺駅前~我孫子道・浜寺駅前)と路線を共用しており、天王寺駅前発着の系統は6分間隔で運行しています。
そのため、共用する恵美須町発着の路線は6の倍数の運行間隔でないと、競合していまいます。天王寺発着の系統と時刻が近接してしまいます。そのため、24分間隔という一見、中途半端な運行本数にしているのだと考えられます。
②浜寺駅前発着電車との乗継のため
現在の12~24分間隔ダイヤでも、浜寺駅前発着電車との乗継が可能なダイヤとなっています。浜寺駅前発天王寺駅前行の電車に乗ると、我孫子道で降りればたった3分後に発車する恵美須町駅行きに乗ることができます。
これを20分間隔や30分間隔としてしまうと、浜寺駅前発着の電車との乗継時間が長くなってしまいます。これを避けるために、24分間隔にしているのだと推測されます。
堺市内区間の微増について
これも推測でしかありませんが、先日行われた堺市長選もちょっと関係しているのではないかと考えています。堺市は阪堺線堺市区間のために年間約2億円の支援を行っています。これにより、大阪市内~堺市内の2区間運賃が290円から200円への値下げとなっているのです (現在は消費増税により210円) 。
これまで支援していた竹山市長が辞職に追い込まれたのを見てなのか、今回のプレスリリースは「堺市の支援により」という文面が目立ちました。 ・・・(中略)・・・ 阪堺支援策は無意味なものではなく、支援によって宿院停留場の改修や石津北停留所の新設、LRV堺トラムの運行開始などへの投資を実現し、実際に利用客数が伸びて目論見通り堺市内の公共交通が活性化しています。
出典:【阪堺】7/20にダイヤ変更。恵美須町発着列車が24分間隔へ、終電が30分繰り上げに… | いまどきの鉄道サイトの作り方<https://207hd.com/?p=6485>-2019年6月16日閲覧
利用者が増えており、増便は妥当なものではないでしょうか。
減便スパイラルが心配
減便スパイラル、という言葉があります。以下の説明がわかりやすいです。
現状も12━24間隔で都市交通としては使いにくいパターン。運用の問題とかあるんだろうけど、間引き→不便→客離れ→間引きの典型的な負のスパイラルを歩んでいるような
— IZM (@IZM_3202) June 14, 2019
12分の一つの欠点かな。1本でも間引くと途端に不便になる。高野線で以前36分間隔というのがあったけど… https://t.co/FlUHcdcbrb
利用者面からすれば、どんどん利用が不便になっていくという悪循環のスパイラルです。阪堺線恵美須町~住吉間はさらに、利用者が減ってしまうのではないかと危惧しています。
魅力いっぱいの恵美須町~住吉
もともと、浜寺駅前を発着する大阪市内~堺市内を直通する系統は、阪堺線と言う名称通り、恵美須町~浜寺駅前でした。しかしながら、今から約10年前の2009年に上町線天王寺駅前~浜寺駅前がメインとなり、大阪市内~堺市内の直通路線は恵美須町発着から天王寺駅前発着に振り替えられました。それ以降、天王寺発着が本線のような扱いになり、恵美須町発着系統は支線扱いになってしまったのです。
恵美須町~浜寺駅前発着では、親会社の南海電鉄の南海本線と完全並行してしまうことが理由でしょうか。阪堺線の100m~300mに南海本線が並行しています。天王寺(あべの橋)発着として、新たな需要を掘り起こしにいったのではないかと思います。その後、キューズモールやあべのハルカスも開業し、本線扱いを天王寺駅前発着としたことは成功しているように思います。
しかし、現在の恵美須町~住吉~我孫子道系統も南海本線と完全並行していることには変わりありません。しかも小回りにきくハズの阪堺線が24分間隔で南海本線が15分間隔。運行本数でも負けています。
ですが、恵美須町~住吉間は実は魅力いっぱいなのですよ!
恵美須町駅構内に昔ながらの喫茶店があります。ここで電車を眺めながら飲むコーヒーが大好きなんですが、モーニングセットの向こうのモ170が乗客ゼロで出発して行ったのを見てしまいました。その次のキン肉マン電車も5人程でした。
西成区縦断路線ですが、下町風情だけでなく、上町線神の木と逆に高野線をアンダークロスする天神ノ森東玉出間、その近くのレンガ造りの変電所、日本キリスト教団玉出教会、と色々趣きのある沿線でもあります。
出典:阪堺電車ダイヤ改正での心配 | The fool on the web<https://foolontheweb.net/node/567>-2019年6月16日閲覧
今池から聖天坂までの長~い直線区間や、木陰の天神ノ森、白線だけの東玉出上りホームとか、面白いところがまだまだあるのですが、適当な写真がありません。減便される前に行って来よっと。
コメント
1番目の画像配信は新恵美須町駅移転前の旧恵美須町駅のものです、