夢洲駅(仮称)とは、大阪市此花区の人工島・夢洲に設置される予定のOsaka Metro中央線の駅です。夢洲は、2025年開催予定の大阪・関西万博の会場でIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の整備予定地でもあります。夢洲駅はその万博会場・IRの最寄り駅になります。
その夢洲駅は、大阪市が周辺整備・運営を担う民間事業者をプロポーザル方式(価格が安いで決めるのではなく提案で決める方式)で募集していました。しかし、2021年7月7日の締め切りまでに応募がなかったため、駅の関連施設を公費、つまり税金で整備することが2021年8月に発表されました。1)
市は駅周辺の約3万3千平方メートルの市有地を借りて施設を建設する民間事業者を募集したが、7月の締め切りまでに応募がなかった。
出典:『万博の新駅施設、公費で整備へ 大阪市 – 産経ニュース』<https://www.sankei.com/article/20210831-WFEKMP3XBRIFDEWF2FDZFBF5RU/>-2021年10月13日閲覧
松井氏は市役所で記者団に「万博に間に合わせるため、公共工事として市が実施することを決めた」と説明。市は新駅の改札付近や地上までの通路などの整備を公費で負担し、商業施設の建設などが想定される土地の開発は、改めて公募するとしている。
夢洲駅のイメージ?
2018年12月、夢洲駅はこのようなイメージの駅となることがOsaka Metroによって発表されました。
出典:『地下空間の大規模改革及び夢洲開発への参画について』2018年12月20日<https://www.osakametro.co.jp/company/library/20181220_katuryokuinfura/%E5%B8%82%E9%95%B7%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%B3%87%E6%96%99181220_1219ver2.pdf>-2021年10月13日閲覧
とても未来的な解放感溢れる駅・ホームとなっています。しかし、今回の民間投資の不調となり夢洲駅は公費で整備することになりました。大阪市幹部は「必要最低限の整備となる」とコメントしています。2)
また、上記のイメージ図は相対式の2面2線(真ん中に線路が2つあり、両側にホーム)となっていますが、Osaka Metropolis3)によるとホームは1面2線(ホームが真ん中にあり両側に線路がある構造)に変更の予定だそうです。もしそうだとするとこのような未来的な解放感あふれる駅・ホームは規模縮小した簡素なものになってしまうかもしれません。そうだとすると、残念ではありますが、、、
また、夢洲駅にはOsaka Metroが開発を行う夢洲駅タワービルの計画がありましたが、こちらもOsaka Metropolis3)によると計画は凍結になっているとのことです。
出典:『地下空間の大規模改革及び夢洲開発への参画について』2018年12月20日<https://www.osakametro.co.jp/company/library/20181220_katuryokuinfura/%E5%B8%82%E9%95%B7%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%B3%87%E6%96%99181220_1219ver2.pdf>-2021年10月13日閲覧
今回、民間投資が不調(公募したが応募する民間事業者がなかった)となった要因ですが、大阪市の松井市長は「事業者が今の時点で将来のリスクを全て判断することが厳しい」からとのことでした。
公募に応じた民間事業者がいなかった件について、「事業者からすると魅力のある開発にならないのではないか」と記者が投げかけると、松井市長は「それは違う。事業者の皆さんには夢洲の魅力は感じていただいている。というのは、万博だけでなく将来の事も考えて(のこと)」と即座に否定した。
また、事業者が駅周辺地域を開発するのは万博後であることを強調し、「(事業者は)今の時点で将来のリスクを全て判断することが厳しい」と話した。事業者が懸念するリスクについては、「長期の定借となる。返還時に現状復帰することを公募要件にした。だが、高層ビルを建てる時に(地中に)打った杭の撤去は、現状その手段が技術的に確立されてない。それを公募要件に入れたことが事業者の判断を鈍らせたというか、そもそもできない事が公募要件に入ってるじゃないかと。それが事業者が敬遠した一番の理由」と明かした上で、今後再公募する考えを改めて示した。
出典:『大阪市 夢洲駅(仮)整備を公共事業で 松井一郎市長 – IAG Japan』<https://www.asgam.jp/index.php/2021/09/01/osaka-to-use-public-funds-to-build-new-station-for-ir-site-yumeshima-jp/>-2021年10月13日閲覧
建設状況は?
(仮称)夢洲駅の工事は既に始まっているそうです。2021年9月29日に放送された朝日放送(ABCテレビ)の番組『今ちゃんの実は・・・』のコーナー「街に潜む謎を追え!クイズ!実は…ハンター 大阪・関西万博編」では、地下に駅を作るための掘削工事(土を掘る工事)が行われていると、説明がありました。
放送で見る限り、開削工法で行われているようでした。開削工法とは 地面から駅をつくる深さまで土を掘る工事で、以下の写真に示す通りうめきた新駅工事のようなものです。そのまま土を掘ると掘ったところが崩れてくるので、切梁(鋼材によるつっぱり・写真だと茶色い横方向の鋼材)を用いて土を留めています。
放送では、普通のどこにでもある地下駅の工事のような図が出てきましたが、(仮称)夢洲駅はやはり簡素などこにでもある普通の駅になってしまうのでしょうか。
なお、遠くから見ることになりますが、さきしまコスモタワー展望台(南港)から工事の様子が見ることができるようです。4)
当初は、大阪・関西万博とIRが同時開業をすることを想定して夢洲の開発計画を立てていましたが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で方針転換を迫れられています。
夢洲駅整備は出鼻を挫かれた感がありますが、成功して欲しいものです。
コスモスクエア駅~夢洲駅のトンネルは整備済み
コスモスクエア駅のある咲洲から夢洲まで、中央線は海底トンネルで結ぶことになっています。実はこのトンネル、既に完成しているのです。咲洲~夢洲間には自動車が通行できる夢咲トンネルというものが存在しますが、この夢咲トンネルの南行の道路と北行の道路の間にすでに鉄道が通れる空間が整備されているのです(というよりも道路トンネルと鉄道トンネルが一体化しています)。
以下の記事に詳しく書かれているので紹介します。
▽コスモスクエアと夢洲をつなぐ「夢咲トンネル」…実はすぐに地下鉄が走れるようになっている? – Osaka-Subway.com
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参考文献
1) 『万博の新駅施設、公費で整備へ 大阪市 – 産経ニュース』<https://www.sankei.com/article/20210831-WFEKMP3XBRIFDEWF2FDZFBF5RU/>-2021年10月13日閲覧
2)『大阪万博の新駅前施設、市が整備 民間投資不調で方針転換(共同通信) – Yahoo!ニュース』<https://news.yahoo.co.jp/articles/7146709f9fd5012592f13d3d623183071f9493c5>-2021年10月13日閲覧
3)『【7/7着工】大阪メトロ中央線 夢洲駅延伸まとめ | Osaka Metropolis』<https://osaka-metro-pm.com/2020/07/19/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E7%B7%9A%E5%A4%A2%E6%B4%B2%E5%BB%B6%E4%BC%B8%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/>-2021年10月13日閲覧
4)『夢洲延伸 建設現場へ往く!【大阪メトロ中央線/北港テクノポート線】 | Osaka Metropolis』<https://osaka-metro-pm.com/2021/08/05/%E5%A4%A2%E6%B4%B2%E5%BB%B6%E4%BC%B8-%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E3%81%B8%E5%BE%80%E3%81%8F%EF%BC%81/>-2021年10月16日閲覧
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