赤字ローカル線問題。感情論を入れたらダメだと思うんですよ、いつも。
相手を批判するだけでは何も始まらない、生まない。いや、軋轢を生むだけ。本気でなんとかしたいのであれば、前向きに建設的に議論して考えて進めていくことが大事だと思ってます。
地元企業と連携
例えば、JR西日本の姫新線 太市駅(兵庫県姫路市)。地元企業が駅前に社屋を建設し、一部を鉄道利用者のために開放(トイレ、カフェなど)。
並行するバス路線との共存(運賃の共通化など)
例えば、2022年にJR四国が導入した、JR牟岐線 阿南~浅川・阿波海南の並行する路線バスとの共存(徳島県)。
・徳島バスの高速バスの途中乗降区間にて、JRきっぷ・定期を使用可。阿南駅でJR⇔バスの乗り継いでも通し運賃を適用(並行する鉄道とバスの運賃面での連携は全国初の取組み)1)。
・JR牟岐線(阿南~阿波海南)、徳島バスの高速バスの途中乗降区間(阿南~浅川)、徳島バス南部(牟岐~阿波海南)間で共通時刻表を掲載
なお、鉄道・バスの運賃面の連携(共同経営)により、徳島南部地域の平均運行間隔時間が20分以上短縮するといった効果があります。2)
列車の行き違い設備(交換設備)の設置
地方ローカル線に多い線路が1本しかない鉄道路線(いわゆる単線)は、片方向にしか列車が運行できず、列車本数が増やせないというデメリットがあります。兵庫県の北条鉄道では、法華口駅(加西市)に列車が行き違いできる設備(列車交換設備)を2020年に設置しました。これにより、約1時間おきにしか運行できなかったのか30分おきに増発できるようになりました。
北条線は、法華口駅にあった唯一の交換設備を国鉄時代に廃止しており、1列車が往復するという単純なダイヤしか組めないようになっていた。そこで、利便性を高めるために、朝夕の列車を増発できるよう同駅の交換設備を復活させたのである。
出典)鉄道ジャーナル2022年6月号、p.32
先に紹介した2020年9月のダイヤ改正で、朝夕ラッシュ時に約1時間おきから30分おきとなるように列車を増発したが、その前後で利用者数は顕著に増加。コロナ禍前と比べて通勤定期利用者は14%ほど、通学定期利用者は11%ほど増えている。
出典)鉄道ジャーナル2022年6月号、p.37
駅を核とした乗継ネットワークの構築
徳島県小松島市のJR四国 牟岐線の南小松島駅では、路線バスとの乗継連携を行っています。県都の中心駅である徳島駅から県南部方面の路線バス(全系統)の南小松島駅乗り入れを2018年4月に行いました。
この利便性向上により、南小松島駅の乗車人員は2018年、前年比6.3ポイント増加しているとのことです。3)
新駅設置・移設・統廃合、パークアンドライド駐車場の整備
えちぜん鉄道(福井県)の例
三岐鉄道(三重県)の例
なかなか行われることが少ない取組み、駅の統廃合を積極的に行ったのが三岐鉄道です。
増便・パターンダイヤ化
JR時代、1時間に1本(昼間)で運行時刻もバラバラだった富山港線は、富山ライトレールに生まれ変わった際、1時間に4本の運行(昼間)でダイヤも毎時同じ時間に運行するパターンダイヤに変更になりました。
パターンダイヤ化による利便性向上は、JR四国でも行われています。
- 牟岐線 徳島~阿南駅(2019年3月ダイヤ改正より)
- 土讃線 高知~土佐山田駅(2021年3月ダイヤ改正より)
- 徳島線 徳島~穴吹駅(2021年3月ダイヤ改正より)
- 高徳線 徳島~板野駅および鳴門線(2022年3月ダイヤ改正より)
並行バスの再編・フィーダー化
鉄道路線と競合状態のバスを、鉄道路線と鉄道駅に接続するバスに役割分担を変更することによって、利用者を増やします。
フィーダーバス
出典)『フィーダーバスとは | 北陸の視座vol.21用語』<http://www2.hokurikutei.or.jp/lib/shiza/shiza08/vol21/glossary/topic1/note05.html>-2022年4月24日閲覧
駅から自宅までといった端末的な輸送をフィーダー輸送といい、それをバスで行っているもの。二次交通。
関連サイト
鉄道事象者と地域の共同に関する地域モビリティの刷新に関する検討会:地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言 ~地域戦略の中でどう活かし、どう刷新するか~、令和4年7月(国土交通省ホームページ)
https://www.mlit.go.jp/tetudo/content/001492230.pdf
参考文献
1)『鉄道乗車券で高速バスOK 徳島・JR牟岐線の並行区間、運賃で連携:朝日新聞デジタル』<https://www.asahi.com/articles/ASQ33654VQ33PTLC01H.html>-2022年5月21日閲覧
2)『徳島南部地域におけるJR四国と徳島バスの連携について』<https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001471252.pdf>-2022年5月21日閲覧
3)『徳島県における「鉄道の利用促進・利便性向上」アクションプラン ~「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」中間整理に基づく地域の取組み、2020年6月、徳島県生活交通協議会』<https://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2020%2009%2017.pdf>-2022年11月3日閲覧