阪神高速2号淀川左岸線とは、大阪市此花区の北港JCT~大阪市北区の豊崎出入口(仮称)までの都市高速道路で、最終的には豊崎出入口からさらに東に伸びて門真市の門真JCTまでつながる予定の道路です。
開通しているのは北港JCT(5号湾岸線と接続)~海老江JCT(3号神戸線)の区間のみとなっており、現在は海老江JCT~豊崎出入口(仮称・新御堂筋と接続)の区間の工事が行われています。
終点:『どんな道路?- 淀川左岸線|阪神高速道路株式会社』<https://www.hanshin-exp.co.jp/company/torikumi/building/yodogawa/smooth.html>-2021年10月23日閲覧
北港JCT~門真JCTまで全線開通すれば、阪神高速5号湾岸線・阪神高速6号大和川線・近畿自動車道と組み合わせて大阪都心部の外周を環状する「大阪都市再生環状道路」が全線開通することになります。
出典:『大阪市:淀川左岸線(2期)事業の概要 (…>都市計画道路>主要事業)』<https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000160706.html> -2021年10月23日閲覧
大阪・関西万博のシャトルバスルートとして暫定利用?
淀川左岸線は2026年度末開通予定なのですが、整備を前倒しし2025年の大阪・関西万博開催時に新大阪駅・大阪駅~万博会場までのシャトルバスルートとして暫定利用することが計画されています。1)
堤防と道路が一体になった特殊な構造
この淀川左岸線(2期)の海老江JCT~豊崎IC(仮称)の区間はほぼ全線が地下トンネルとなるのですが、ただのトンネルではありません。淀川の堤防と一体になった特殊な構造なのです。
道路トンネルを堤防内に構築するというのは前例のない計画だったため、堤防・トンネルの安全性を確保を目的として技術検討委員会が設立されたほどでした。結論としては、安全なものが整備できる、ということになっています。
一体構造物に対する堤防機能に関する安全性の検討・評価の結果,堤防と道路構造物との一体構造物として,堤防機能に及ぼす影響は安全性を損なわない程度であり,加えて施工 時・完成後の適切な維持管理・モニタリングにより,機能確保や非常時の効率的対応も可能になることから,淀川左岸線(2期)の構造物は,堤防として要求される機能を満足し, かつ,現況堤防と同等以上の機能を有するものとして,整備することが可能であるものと評価する。
出典:『淀川左岸線(2期)事業に関する技術検討委員会 技術検討報告書【概要版】 平成29年11月』 < https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/cmsfiles/contents/0000160/160698/houkokusyogaiyoubann.pdf >-2021年11月13日閲覧
大淀IC(仮称)~豊崎IC(仮称)間 工事の様子(2020.7)
かつては淀川の左岸沿いに運河がありました。その名前は中津運河(長柄運河ともいいます)。中津運河は『十三のいま昔を歩こう』2)によると1977年(昭和42年)頃に埋め立てられとされています。
埋立てられた後も運河跡もずっと残っていたのですが、『梅田の北っかわ!Ver.2.0』3)によると、淀川左岸線の工事に伴い2019年頃に跡形もなくなくなったとのこと。ここに淀川左岸線のトンネルが建設されることになります。
中津運河については前述のサイト「十三のいま昔を歩こう」が詳しいです。
大淀IC(仮称)~豊崎IC(仮称)間 工事の様子(2021.4)
新十三大橋(十三バイパス)の北区側から海老江方向を見た様子。阪神高速道路のサイト4)によると、この付近に大淀ICが建設されるようです。海老江・湾岸線方面へのみ流入できる出入口です。
淀川側の法面(斜面)は コンクリートブロックのようなものが設置されていました。 堤防を強化しています。
海老江JCT~豊崎IC(仮称)間 工事の様子(2021.5)
淀川大橋の福島区側から豊崎方向を見た様子。阪神高速道路のサイト4)によると、ここに海老江北ICの入口が建設されるようです。豊崎・新御堂筋方面へのみ流入できる入口です。
海老江JCT~大淀IC(仮称)間 工事の様子(2021.10)
国道2号線の淀川大橋南詰(福島区側)ではトンネル工事に伴い、国道2号線が4車線(片側2車線)から2車線(片側1車線)へと交通規制が行われています。また、淀川大橋の南側にある淀川小橋の東側の歩道が閉鎖されています。歩道を通行する場合は、西側の歩道へ迂回する必要があります。
淀川大橋南詰(国道2号線)~阪神高速11号池田線・JR神戸線間の様子です。堤防の河川側の法面(斜面)はコンクリートブロックのようなものが設置されていました。2021年6月時点で仮の堤防工事は完了しており、地盤改良とプレロード(地盤を強くする工事)を実施中とのことです。5)
大淀出入口付近ではとんでもなく背の高い建設機械がありました。これは地盤改良を行うための施工機械です。淀川左岸線のトンネルを建設する場所は軟弱な地盤であるため、地震時の液状化等を防ぐ目的で行われているものです。6)
現地の説明板によると、当該箇所の地盤改良はサンドコンパクションパイル(SCP)工法と呼ばれるもので、地盤の中に砂の杭を造ることで周辺地盤の密度が大きくなり液状化に対抗できるようになるとのことです。
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参考文献
1)『2025年大阪・関西万博に向けたインフラ整備計画決定。大阪メトロ延伸や淀川左岸線完成前倒し、関空国際線機能強化など 会場周辺やアクセス機能強化、にぎわい創出図る – トラベル Watch』<https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1346787.html>-2021年10月2日閲覧
2)『長柄(中津)運河跡を歩く1 – 十三のいま昔を歩こう』<http://atamatote.blog119.fc2.com/blog-entry-440.html> -2021年10月27日閲覧
3)『2019年中津から橋が消える。 | 梅田の北っかわ!Ver.2.0│大阪ローカルメディア』<https://naka2.life/?p=310> -2021年10月27日閲覧
4) 『どんな道路?- 淀川左岸線|阪神高速道路株式会社』<https://www.hanshin-exp.co.jp/company/torikumi/building/yodogawa/smooth.html>-2021年10月23日閲覧
5)『建設コンサルタントをとりまく最近の話題』p.16<https://www.kk.jcca.or.jp/recital/r3/pdf/s01.pdf>- 2021年10月21日閲覧
6)『住宅近接地で静かな地盤大改良 | 日経クロステック(xTECH)』<https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00031/081700043/> 2021年10月24日閲覧
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