[福岡] 地下鉄七隈線の博多陥没事故現場、トンネル掘削再開へ

2016年11月に大規模な陥没事故が起きた福岡市JR博多駅前の市営地下鉄七隈線の延伸工事現場で、市は19年7月にトンネル掘削を再開する計画を明らかにした。

出典:日経コンストラクション 2019.7.9 P.19

まだ工事が再開されてなかったとは知りませんでした。再開まで約2年半もかかったんですね。

地下鉄七隈線とは

出典:『福岡市地下鉄七隈線-Wikipedia』<https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E5%B8%82%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E4%B8%83%E9%9A%88%E7%B7%9A>-2019.7.7閲覧

地下鉄七隈線は、福岡市中央区の天神南駅と西区橋本駅を結ぶ、福岡市交通局の地下鉄路線です。他の地下鉄路線(空港線・箱崎線)と接続しておらず、天神南駅と空港線天神駅との間は地下街を経由した乗換となっています。

現在、天神南駅~博多駅間を建設中です。この建設中の区間で、道路陥没事故が発生しました。

博多駅前道路陥没事故

あの陥没現場の映像は衝撃的だったのを覚えています。あんなに簡単に地面が陥没してしまうのか、、、と。

【博多駅前陥没】 すいこまれる信号、そして大崩落の瞬間 (西日本新聞読者提供)

市は、午前5時ごろに市営地下鉄七隈線の延伸工事中、トンネル内に地下水や下水が流入して道路が陥没したと明らかにした。地下約16~18メートルにある岩盤層に何らかの原因で穴が開き、地下水が岩盤層下のトンネル内に流れ込んだとみられる。当時作業していた数十人は避難し無事だった。

出典:【博多駅前陥没】長さ30メートルに 停電・ガス停止、けが人も…都市機能に打撃(1/3ページ) – 産経WEST<https://www.sankei.com/west/news/161108/wst1611080057-n1.html>2019年7月14日閲覧

深夜に、福岡市の都心部・博多で道路が陥没し、びっくりするような大穴が開くという大惨事が起こりました。隣接するビルは基礎がむき出しになるぐらいで、ビル倒れてこないだろうか、と心配になるぐらいでした(ビルの基礎が杭基礎であれば問題ないかもれませんが)。

また、この陥没によりガス漏れも発生し、周辺では一時避難も行われました。1)

尚、これほど大規模な事故にも関わらず、奇跡的に被害者は1人も出ておりません。

出典:『【速報】博多駅前の道路が陥没…その原因は地下鉄七隈線 | いまどきの鉄道サイトの作り方』<http://207hd.com/?p=626>2019年7月7日閲覧

そう、犠牲者は1人も出なかったのです。これだけの大規模陥没事故であったにもかかわらず犠牲者が1人も出なかったのは不幸中の幸いです。陥没事故はおきてしまいましたが、異常を察知したあとの現場の初動体制が迅速だったおかげでしょう。

事故原因は?

最も大きな事故原因とされているのは、施工箇所の地質の評価を誤ったということです2)

①想定よりも岩が薄かった

今回、事故現場のトンネル部分では、トンネル天端から風化岩の上端までの厚さ(岩かぶり) が2.6m程度あると想定されていました。

しかしながら、実際は一部を除き、2mを下回っていたということです。

②岩の強度を実際よりも過大に評価していた

風化岩とは、地表にあった際に自然の影響を受けて風化し脆くなっている岩のことです。今回、この風化岩は実は指で簡単に潰すことができるほど、岩とは言い難い軟らかさでした。また、割れ目等も見つかりました。

もちろん設計時に地盤の調査(ボーリング調査)は行っていましたが、場所によっては、想定していたほどの岩としての強度がなかったとのことです。

つまり、①トンネル上部の岩の厚さが想定よりも薄かった②トンネル上部の岩の強度を過大評価していた、この2点により、高い水圧に岩が耐え切れず崩壊し、その上部にある土がトンネル内になだれ込むことで、道路が陥没しました。

なお、陥没事故の概要や詳細な原因究明については、福岡市地下鉄のホームページに掲載されています。
地下鉄七隈線延伸工事に伴う道路陥没事故について|福岡市地下鉄

道路陥没事故といえば、1990年1月に東京・御徒町で起こった陥没事故の映像をテレビで見たのを覚えています。建設中であった東北新幹線・東京~上野間の第1上野トンネルをシールド工法で工事を行っていた時に発生した陥没事故です3)
※東京駅~上野駅間1991年(平成3年)6月に開業。

工事再開後の工法

都市NATM工法で掘削を行っていた、今回の区間。2017年3月31日に報告があった「福岡市地下鉄七隈線延伸工事現場における道路陥没に関する検討委員会の結果について4)では、 以下の通り、工法選定そのものが誤っていたというわけではないとのことです。

再発防止策、工事再開に向けた留意点について

 検討委員会では、今回示された要因を踏まえ、工事再開に向けた留意点および一般的な再発防止策が示されている
 なお、都市NATMの工法選定そのものが誤っていたわけではないとの見解が示された

出典:『福岡市地下鉄ホームページ』<http://subway.city.fukuoka.lg.jp/subway_webapp/app/webroot/files/uploads/kekka.pdf>2019年7月7日閲覧

ただ、これだけの事故を起こしてしまったので工事再開後の工法は、見直しを行うと思っていた。しかしながら、工事再開後の工法は事故前と同じNATM工法を採用。

「福岡市地下鉄七隈線延伸工事現場における道路陥没に関する検討委員会の結果について」4)では、 以下のように掘削工法の見直しも考えられていました。

工事再開に向けた留意点

〇地質、地下水の状況把握の必要
〇トンネル坑内の水抜き及び土砂撤去は慎重に行う必要
〇再掘削工法の選定については、都市NATMのほかにシールド工法等の工法や新技術の活用も必要
〇再掘削を開削工法による場合、非開削工法による場合のいずれにおいても、安全面を考慮した対策を講じる必要

出典:『福岡市地下鉄ホームページ』<http://subway.city.fukuoka.lg.jp/subway_webapp/app/webroot/files/uploads/kekka.pdf>2019年7月7日閲覧

都市NATMは、上記でいれば非開削工法にあたります。シールド工法も非開削工法の一つです。開削工法とは地上から地下に向かって掘っていく工法のことです。今回の地下鉄七隈線の工事でも、事故を起こした箇所より博多駅側では開削工法を用いることになっています。

なお、地下鉄七隈線の延伸区間の開業は2023年3月と発表されています5)

2019年9月16日追記

追記

博多駅前のトンネル工事による陥没事故は映像もあったためかショッキングな事故ではありますが、前述で紹介した東京・御徒町での陥没事故のように都市部でのトンネル掘削中による事故はこれまでたくさん発生しています。

例えば、大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)。1968年9月、東成区の当時建設中であった千日前線今里~新深江間のトンネル工事で、凍結工法という特殊な工法を使っていたのですが、なんと凍結していた氷が溶けて水没するという事故が発生しました。6)

なんと凍っていた氷土が溶けて水となり、コンクリートをまだ打っていなかった部分から水が流れ込んで大事故となりました。
・・・(中略)・・・
…この事故で鶴橋~新深江間が全て水没。鶴橋→谷町九丁目は上り勾配なのでようやくここで水がストップしたのでした。

出典:【コラム】水没した新深江駅と凍結工法 | Osaka-Subway.com<http://osaka-subway.com/post-18412/>2019年9月16日閲覧

ななななんと!上町台地のために勾配(地下鉄の坂)となっている谷町九丁目(谷九)~鶴橋間で水没が止まったとのこと。リアルな話であります。

上記の記事は9月15日にポストされたものです。 この記事で初めてこのようなトンネル事故があったことを知ったのですが、とても興味深かったのでここで紹介させていただきました。

[参考文献]
1) 【博多駅前陥没】「爆発ありえた」想定外のガス漏れ 大阪では46年前に大惨事…改めて問われる安全対策(1/2ページ) – 産経WEST<https://www.sankei.com/west/news/161118/wst1611180058-n1.html>2019年7月14日閲覧

2)日経コンストラクション 2017.4.24 PP.24-29
3) 御徒町トンネル工事における薬液注入工の施工について | 平成2年度決算検査報告 | 会計検査院<http://report.jbaudit.go.jp/org/h02/1990-h02-0453-0.htm>2019年7月7日閲覧
4)『福岡市地下鉄ホームページ』<http://subway.city.fukuoka.lg.jp/subway_webapp/app/webroot/files/uploads/kekka.pdf>2019年7月7日閲覧
5) 日経コンストラクション 2019.7.9
6) 【コラム】水没した新深江駅と凍結工法 | Osaka-Subway.com<http://osaka-subway.com/post-18412/>2019年9月16日閲覧

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