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[コラム] 液状化は臨海部の埋立地以外でも生じる

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▲神戸・メリケン波止場に残る震災以降(2011年2月撮影)

2024年1月17日で、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)の発生から29年になります。

当時多くの人が亡くなられてしまい、また多くの被害が生じました。その中でも、特徴的な災害(被害)として液状化があります。

液状化とは

液状化とは、ざっくりいうと地震による振動によって地面の中の水分が土と水に分離して、地面がむちゃくちゃになるという現象です。

液状化とは、地震の振動で地中の土砂が液体状になり、水とともに地表へ出る現象です。

出典)『忘れてはいけない東日本大震災の記憶:我孫子市公式ウェブサイト』<https://www.city.abiko.chiba.jp/anshin/bousai/saigai_hassei/eastjapan_earthquake/higaijokyo.html>-2024年1月15日閲覧
▲ポートアイランドの液状化現象
出典)『阪神・淡路大震災「1.17の記録」』< https://kobe117shinsai.jp/area/chuo/c181.php >-2024年1月10日閲覧(神戸市提供)

液状化が生じると、地面が割れて道路がゆがんだり、建物が傾いたり、マンホールが浮上がるなど被害が生じます。1964年の新潟地震では、液状化により4階建てのアパートが横倒しになるなどの甚大な被害が生じました。2024年1月1日の能登半島地震でも液状化が生じています。

この液状化ですが、海岸付近の臨海部の埋立地でしか発生しないもの、という認識の人が多いように感じています。例えば阪神・淡路大震災では神戸市ポートアイランド、東日本大震災では千葉県浦安市の臨海部で発生したイメージを持っている方が多いと思いますが、東日本大震災では、内陸の千葉県我孫子市でも液状化が生じています。

そこで、今回は液状化がどのような場所で発生しやすいのかを簡単に説明したいと思います。

液状化が発生しやすい場所は?

ざっくりいうと、次の箇所です。

  • 臨海部の埋立地
  • 昔の河川・沼地などの跡地
  • 大きな川の沿岸部
  • 谷の埋立地

臨海部の埋立地

まず、最初に述べた通り、臨海部の埋立地では液状化の発生がしやすいです。

阪神・淡路大震災では神戸市、芦屋市、西宮市の埋立地で多く被害が発生しました。特に神戸市の人工島のポートアイランドがニュースなどで放送される機会が多かったように感じます。

▲ポートアイランドの液状化現象
出典)『阪神・淡路大震災「1.17の記録」』< https://kobe117shinsai.jp/area/chuo/c180.php >-2024年1月11日閲覧

東日本大震災では千葉県浦安市の面積の86%が液状化被害に見舞われました。1)

ただし、埋立地だからといって液状化が発生するとは限りません。例えば、東日本大震災では同じ浦安市の舞浜にある東京ディズニーランドでは、ほとんど液状化の被害がありませんでした。これは、液状化の発生を防止する地盤改良が行われていたからです。

また、舞浜駅のロータリーや近くの駐車場や道路、駅反対側の住宅街に被害が広がり、周辺一帯の地盤の損壊が激しかったにもかかわらず、東京ディズニーリゾート内は大きな被害はなかった。この敷地内では、締め固めた砂の柱を一定間隔で地中に造成する地盤改良対策(サンドコンパクションパイル工法)を事前に独自で行っていたため、液状化を免れたのだという。

出典)『液状化と浦安――埋立地やディズニーリゾートを通じて地域の歴史を捉える 『ゼロ年代の論点 ウェブ・郊外・カルチャー』著者 円堂都司昭氏 論考|ビジネス+IT』<https://www.sbbit.jp/article/cont1/23303>-2024年1月15日閲覧

昔の河川・沼地などを埋めた土地

下の地図は、東日本大震災で液状化がおこった個所を示したものです。このように、内陸でも液状化は発生するのです。

▲ 東北地方太平洋沖地震により関東地方で液状化が確認された地点の分布(マンホール・管渠の浮き 上がり・堤体の液状化のみの地点は含まず。2014.9.10現在)
出典)若松加寿江、先名重樹:2011 年東北地方太平洋沖地震による関東地方の液状化発生と土地条件、日本自身工学会論文集 第15集、第2号、2015< https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaee/15/2/15_2_25/_pdf >-2024年1月15日閲覧

内陸で、例えば茨城県下妻市では昔の鬼怒川だった箇所が埋め立てられて陸地になった場所、千葉県我孫子市でも沼を埋め立てた箇所で液状化の被害が多く発生しました。2)

大きな川の沿岸部

▲酉島川表護岸の被災状況(大阪市此花区)
出典)『淀川の震災と堤防復旧について – 国土交通省淀川河川事務所』< https://www.kkr.mlit.go.jp/yodogawa/activity/maintenance/earthquake/bosai_jishin_03_01.htm >-2024年1月11日閲覧

阪神・淡路大震災では、兵庫県の液状化が目立ってしましたが、実は大阪でも液状化による被害が発生していました。

場所は、大阪市此花区の酉島地区の淀川(新淀川)の河川堤防です。ここでは、堤防直下の砂層の液状化により、堤防が崩壊しました。3)

ことに左岸の酉島(とりしま)地区では、地盤の液状化により約2kmにわたって堤防が崩壊。もっともひどい所では、高さ約8mの堤防が3mも陥没してしまいました。幸い1月は水量の少ない時期で、堤防崩壊と同時に浸水するという被害はまぬがれたものの、残った堤防の高さが最悪のところでは、満潮時の水位より約1.5m高いだけという状況で、大雨などによる水位の上昇と満潮時が重なれば、水があふれ背後の民家に浸水しかねない危険な状態になっていました。

出典)『〇淀川左岸<酉島地区>第一次、第二次緊急復旧工事で浸水を未然に防止』<https://www.nikkenren.com/about/shibiru/c_zokan/zokan_19_20.pdf>-2024年1月11日閲覧

谷の埋立地

2018年9月に発生した北海道胆振東部地震では、震源地から60km離れた内陸の札幌市清田区でも液状化が発生しました。

清田区の液状化が発生した箇所では、宅地造成が行われており、山を削り、谷を埋める形で行われていました。この造成で使われた盛り土の火山灰が一因ではないかと指摘されています。4)

その他

砂丘の内陸側縁辺5)でも液状化の可能性が大きいです。

おわりに

以下のサイトでは、日本全国の液状化マップ(液状化危険度分布図)を簡単に確認することができます。

お役立ち情報 | ハイスピードコーポレーション
ハイスピードコーポレーション株式会社の地盤改良工事「ハイスピード工法」は、天然の砕石のみを使用した人・環境にやさしい軟弱地盤改良/地盤補強工法です。地震時の液状化を抑制して、環境汚染問題、資産目減りなど地盤改良のあらゆる問題を解決します。

なお、大阪市の液状化予測については、以下の大阪市のホームページで調べることができます。

災害想定(震度分布・液状化予測・津波浸水想定)について
●震度分布  大阪市域並びにその周辺には連続して存在していると考えられる上町断層系(佛念寺山断層、上町断層、長居断層、桜川撓曲及び住之江撓曲)があり、震度[上町断層系]の図は、震源を上町断層の北部として、想定しうる最大級の地震動の大きさを..

大阪市内は内陸部でも液状化が発生しやすいのですね。私の住んでいる所も _| ̄|○

参考文献

1)『8割液状化 浦安市のいま:写真 :日本経済新聞』<https://www.nikkei.com/photo/special/article/?ng=DGXZZO51320920T00C13A2000000>-2024年1月11日閲覧
2)『古い地図・写真からみる液状化の状況 – 国土地理院』<https://www.gsi.go.jp/common/000061425.pdf>-2024年1月15日閲覧
3)『震災復旧対策』<https://www.kkr.mlit.go.jp/yodogawa/activity/maintenance/earthquake/bosai_jishin_03_03.html>-2024年1月11日閲覧
4)『なぜ液状化現象が起きたのか?北海道胆振東部地震で被害を受けた里塚地区の戦い FNSドキュメンタリー大賞2019|FNNプライムオンライン』<https://www.fnn.jp/articles/-/38406>-2024年1月10日閲覧
5)『防災基礎講座 基礎知識編:4. 地盤液状化 – 防災科学技術研究所』<https://dil.bosai.go.jp/workshop/01kouza_kiso/04ekijouka.html>-2024年1月15日閲覧

過去記事

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