大阪と神戸方面を尼崎・西宮・芦屋を経由して結ぶ国道2号線。この国道2号線上には、約50年前の1975年まで路面電車が走っていました。
この路面電車の名残である阪神バスが、国道2号線の大阪市内区間(福島区・西淀川区)でついに消滅します。
消滅は時間の問題だった?
とはいっても、この阪神バス 阪神杭瀬駅北~西淀川区~野田阪神前 間の消滅、時間の問題でした。なぜかというと、数年前から土曜・休日の1往復のみといった、いわゆる免許維持路線と化していました。
免許維持路線とは
出典)『激レアバス路線「免許維持路線」に1日で13回乗る!!(前編) | 俺の居場所-まち記録サイト』<https://urban-development.jp/blog/other/menkyoiji-1/>-2024年1月8日閲覧
バス路線を維持するために、僅かな本数だけ運行しているバス路線のこと。
バス路線の開設に必要な許可を得るのは大変なため、今後何かがあった時のためにバス路線は廃止せずに、細々と運行させている。
そのため、既に一般の人の生活に使えるようなバス路線ではなくなっており、沿線の人がこのバスがなくなっても問題ない?というような状況です。
免許維持路線のほとんどは、免許維持路線化した後に最終的に消滅することがほとんどなので(例外あり)、この阪神バス 阪神杭瀬駅北~野田阪神前間についても、いつ消滅してもおかしくない状況でした。
意外だったのは、2023年11月にこれまで土曜・休日の夕方1往復から、土曜・休日の早朝1往復の運行にダイヤ変更が行われたこと。
このダイヤ変更により、土曜・休日の1往復運行体制がしばらく続くものだと思っていたところに休止のお知らせが出たため、これについては予想外でした。
2023年9月現在の阪神バス 運行系統図です。
この系統図(路線図)から、大阪市内区間が消滅するのもあとわずかでしょう。
なお、国道2号線を走るバスは2013年9月までは、野田阪神方面から阪神杭瀬駅北を越えて、阪神甲子園駅まで運行していました。
野田阪神~天六の阪神バスも消滅へ
阪神杭瀬駅北~西淀川区~野田阪神前のバスと同時に、2024年1月に消滅するのは阪神バス 北大阪線です。
このバスは、野田阪神前~天神橋筋六丁目(通称・天六)の間を、梅田エリアの北側をかするように中津経由で運行するバス路線です。
この路線もかつて運行していた阪神の路面電車 北大阪線の代替路線のバスです。
このバスは、約25年前の1999年7月現在では、昼間は15分間隔で運行していた1)のですが、ついに消滅します。
野田阪神前バスターミナル
阪神電鉄野田駅のすぐ北側にはバスターミナルがあり、大阪シティバスと阪神バスが発着しています。ここには阪神の路面電車のターミナルがあり、尼崎神戸方面への路面電車と天六方面の路面電車が発着していました。
ここのバスターミナルから、阪神の路面電車の名残である、阪神バスの発着が消滅します。
2番のりばの国道2号線方面(西淀川区歌島橋経由 阪神杭瀬駅北行き)のバス停。
3番のりばの、北大阪線天六方面行きバス停。並行する大阪シティバス大阪駅前行きはこれからも変わらず運行。
廃止ではなく休止?
少し気になることがあります。廃止ではなく休止という表現。
休止と書かれると、また復活するのでは?という印象を持ってしまいます。ただ、私の知る限り、このような1日1往復だとか土休日のみ1日1往復のバス路線が休止になった場合、そのまま本当に消滅してしまうケースがほとんどなので、今回の阪神バスもこのまま完全消滅してしまうものだと思っています。昨今のバス運転手不足のこともありますし。
東梅田発着の近鉄バスも2017年に休止と表現でしたがそのまま消滅してしまいましたしね。。。
廃止と休止、この違いって、いったい何なんですかね?
おわりに
阪神バスの大阪市内区間の消滅は、想定されていたことなのでそこまで驚きはありません。
しかし、この時期に消滅するというのは、全国で生じているバス運転手不足により、もう土曜・休日の1往復の運行すら維持することが難しい、という状況なのかな?と推測しました。
参考文献
1)『阪神パス-北大阪線』<http://www.hyogonet.com/bus/rt/rosen/hanshin13.html>-2024年1月8日閲覧
関連サイト
以下のサイトで、かつて国道2号線や大阪市内で運行していた阪神の路面電車の写真を見ることができます。