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根室本線 富良野~新得間について

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今から1年以上前の2018年6月、以下の記事を書きました。

根室本線の富良野~新得間は、ほぼ廃止が決定しているような状況ではありますが、実際のところ沿線自治体は廃止に同意はしていない状況です。そのため、富良野~新得間の廃止は濃厚だけど確定していない状況です。

目的は?

根室本線 富良野~新得間と同様に、災害により不通となってしまい、まだ復旧するのかしないのかが確定していない路線が九州にあります。福岡県と大分県を結ぶ日田彦山線の添田~夜明間です。

この不通区間について、地域公共交通の第一人者、名古屋大学の加藤博和教授が以下のように述べています。

「日田彦山線の不通区間についても本当に鉄道が必要なのか。バスも含めて公共交通のあり方を地域が考えるべきだ。そもそも本当の交通弱者は鉄道に乗らない。総合病院や大規模店舗は駅前にはない。結局、駅からバスやタクシーを使うことになる」

出典:雑草茂る日田彦山線の不通区間「本当に鉄道が必要?」:朝日新聞デジタル<https://www.asahi.com/articles/ASM364V64M36TIPE01J.html>-2019年11月30日閲覧

大切なのは、地域にとってどんな交通が必要か、ということです。本来、それが目的としてあるべきです。目的をしっかり持たないと話がおかしな方向に行ってしまいます。

よく言われるのが、鉄道はあくまでも(交通)手段なのに、鉄道を残すこと自体が目的になっているのがおかしい、という話。

根室本線 富良野~新得間の沿線自治体にとって、交通のあり方をどうするべきなのか、鉄道じゃないとダメなのか、バスではダメなのか、福祉タクシーではだめなのか、このような議論が前提として必要です(もちろんそのような議論はされているだけで表に出てこないだけなのかもしれませんが)。

鉄道存続が目的でも良い

ただし、鉄道を一度廃止してしまえば、再度復活させるには多額の費用が必要となります。もったいないと言えばもったいない話です。鉄道は敷設するために多額の費用がかかっているものです。また、お金の話は別としても、沿線地域が鉄道の廃止を望まないこと自体の気持ちは理解できます。

前述と逆のことを述べてしまいますが、そもそも、鉄道存続を目的とすることが絶対ダメなんてルールはありません。

もし、鉄道を残すこと自体を目的とするのであれば、

  • 赤字補填のための多額の費用
  • 鉄道利用者の需要の創出
  • そして、バスではなく鉄道が必要だという確固たる意義

この3つが必ず必要であると思います。もちろん、費用負担をどうするか、がもちろん重要なファクターですが、これら3つが揃わなければどこが費用負担するのか、そのような話にさえ行きつかないでしょう。

根室本線 富良野~新得間は、2019年11月12日に廃止・バス転換が事実上確定した日高本線(鵡川~様似)1)や2019年4月1日に廃止された夕張線(石勝線夕張支線)、2016年12月4日に廃止され残りの区間も廃止の可能性が高い留萌本線、2020年5月7日に廃止予定の札沼線(北海道医療大学~新十津川)などと決定的に違うことがあります

それは、廃止が確定・予定されている上記の各路線が盲腸線(片方が他の鉄道路線と接続せず行き止まりになっている盲腸のような路線)であることに対して、根室本線 富良野~新得は両端が他の鉄道路線と接続していることです。

つまり、鉄道ネットワークの一部を担っている路線で、富良野~新得が存在することで、旭川~美瑛~富良野~帯広といった鉄道ネットワークがつながっているのです。

「根室本線の災害復旧と存続を求める会」では以下のような意見がでました。

意見交換では、旭川―道東(帯広・釧路)間の都市間輸送の重要性を強調し、帯広や釧路などと協力して運動を行う必要性を訴える声なども出た。最後に、「国の責任で災害復旧をすべき」「『バス転換加速』を危惧する」などとする、「災害復旧と存続を求めるアピール」を採択した。

出典:岐路の鉄路)根室線廃線なし崩し、警戒:朝日新聞デジタル<https://www.asahi.com/articles/CMTW1911270100004.html>-2019年11月30日

実際、同区間が災害で休止になる直前にどれぐらい旭川~道東の鉄道需要があったのかは私にはわかりません(あったとも言えないしないとも言えない)。以前、下記の記事を書きましたが、旭川~帯広を直通する路線は1日1往復しかありませんでした。

そのことを踏まえると、根室本線富良野~新得を復旧させるのであれば、ただ復旧させるのではなく、 「根室本線の災害復旧と存続を求める会」 で意見が出たように、他の自治体を巻き込むことが必須と考えます。あくまで鉄道として存続を考えるのであれば、同区間の沿線自治体だけで考えることとは到底思えません。

旭川~道東間の沿線が一体となり、需要の創出、費用負担や直通電車の増発等を行うことが絶対条件だと考えます。根室本線 富良野~新得間の存続に持っていくのであれば、このエリアの大きな交通改革が必要でしょう。

[参考文献]
1) 出典:岐路の鉄路)根室線廃線なし崩し、警戒:朝日新聞デジタル<https://www.asahi.com/articles/CMTW1911270100004.html>2019年11月30日

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